君はまだ甘い!
ある日、帝王、ルイ、トオルと4人でプレイして、またもやトオルに惜敗し最下位になった。
「はい、おつかれ~~!」
「くっそ~~、またやられた」
「お疲れ様でした~」
「・・・」
「もう一回やろーぜ。その前にオレ、ちょっとトイレ」
「オレもビール取ってくる」
その日は昼間、ちょっと不機嫌になることがあった。
娘のユカの中学校から「ユカが学校に来ていない」と連絡があり、会社からユカのスマホに電話をして、軽く説教をしたのだ。
これまでにも何度かあったのでさほど驚きも怒りもなかった。もともと大人しく内向的な性格で、友達がなかなか出来ない子だったが、離婚後さらに内に籠るようになり、時々学校を休むようになっていた。
それでも1年が経ち、ここ数カ月は休むことも無く、万事うまくいっていると思っていた矢先だったので、少し暗い気持ちになっていたのだ。
そんな僅かな苛立ちも手伝ったのだろう。
ゲームに負けて、というより初心者トオルに負けて、笑い飛ばすでもなく、悔しさを露わにするでもなく、黙り込んでしまった。
「あの~、○○さん、怒ってます?」
ルイと帝王が離席し、トオルと通話上ではあるが、はからずも二人っきりになってしまった。
もともと人見知りで、自分から話しかけるのが苦手だ。それに、負けた屈辱感もあり、こちらから話しかけてやるものか、とダンマリを決め込んだが、トオルがすぐに問いかけてきた。爽やかさは残しつつ、少し遠慮がちな低い声。
ハッとして、すぐに何か言おうとしたが、やけに緊張してしまい、声がうわずっていた。
「え!・・・あ~、いや・・・。てか、お、怒る必要あります?」
ゲームごときで、と、あくまで平静を装って返答した。
「そうですよね!いや~~良かった。顔が見えないので、怒らせちゃったかなとちょっと心配しました」
ははは、と、もう元のうららかな響きを含んだ声に戻っていた。
「はい、おつかれ~~!」
「くっそ~~、またやられた」
「お疲れ様でした~」
「・・・」
「もう一回やろーぜ。その前にオレ、ちょっとトイレ」
「オレもビール取ってくる」
その日は昼間、ちょっと不機嫌になることがあった。
娘のユカの中学校から「ユカが学校に来ていない」と連絡があり、会社からユカのスマホに電話をして、軽く説教をしたのだ。
これまでにも何度かあったのでさほど驚きも怒りもなかった。もともと大人しく内向的な性格で、友達がなかなか出来ない子だったが、離婚後さらに内に籠るようになり、時々学校を休むようになっていた。
それでも1年が経ち、ここ数カ月は休むことも無く、万事うまくいっていると思っていた矢先だったので、少し暗い気持ちになっていたのだ。
そんな僅かな苛立ちも手伝ったのだろう。
ゲームに負けて、というより初心者トオルに負けて、笑い飛ばすでもなく、悔しさを露わにするでもなく、黙り込んでしまった。
「あの~、○○さん、怒ってます?」
ルイと帝王が離席し、トオルと通話上ではあるが、はからずも二人っきりになってしまった。
もともと人見知りで、自分から話しかけるのが苦手だ。それに、負けた屈辱感もあり、こちらから話しかけてやるものか、とダンマリを決め込んだが、トオルがすぐに問いかけてきた。爽やかさは残しつつ、少し遠慮がちな低い声。
ハッとして、すぐに何か言おうとしたが、やけに緊張してしまい、声がうわずっていた。
「え!・・・あ~、いや・・・。てか、お、怒る必要あります?」
ゲームごときで、と、あくまで平静を装って返答した。
「そうですよね!いや~~良かった。顔が見えないので、怒らせちゃったかなとちょっと心配しました」
ははは、と、もう元のうららかな響きを含んだ声に戻っていた。