君の熱で甘く、溶ける。
あっちのほうだよ、と逢坂くんが指し示す方を見るとまたもや目に飛び込んでくる大量の人。
うわ…と内心げっそりとしているとみんなの顔も引きつっていた。
寒さもだんだんやわらいできたし、人も増えてくるはず。早くしないとお参りすることはおろか、合流することもできない。
「早くしないとだね。逢坂くん案内してくれる?」
おっけー、こっちだよ。と先頭をきって歩き出す逢坂くんのスピードは思ったより早くて後ろについていこうとみんなに声をかけてから駆け出した瞬間、
「……わっ!?」
ぐんっと足が石畳の隙間に引っかかるのがわかる。バランスが崩れ、転ぶ。荷物のせいで両手も塞がっているし新年早々縁起が悪いなあなんて考えながら、私は衝撃に備えて反射的にぎゅっと目をつむる。