君の熱で甘く、溶ける。


「え、先輩その人誰ですか!?」


先ほどまで屋台にならんでたはずの後輩たちがクレープを持って、瞳が驚きとともにキラキラと興味津々に輝く。


確かにこんなにアイドルみたいにかわいい女の子が来たら誰もがきっと目を輝かせる。そんな後輩たちの言葉に逢坂くんが言い淀む。


「あー……幼馴染」


「鈴木美々です!」


よろしくね、と微笑む美々ちゃんに周りの男子は顔を自然と緩ませた。その反対、逢坂くんの顔は渋く曇る。


「……美々(みみ)なんで来たの」


「えー、私も初詣来たかったから!」


えへへ、と逢坂くんの腕にくっつく美々ちゃんのことは知っている。逢坂くんの小さい頃からの幼馴染らしい。見かけると、距離感がいつも近くて、まるで恋人みたい。


ーーいや、私が知らないだけで恋人同士なのかもしれない。
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