君の熱で甘く、溶ける。
「……はあ」
朝9時。
吐く息は白く、地面に広がる雪へとひろがっていく。今朝から降っていた雪がやんで、地面に薄く積もった雪が歩く人の足元でさくさくと軽い音をたてている。
太陽ももうとっくに上がって初日の出を迎えているのにほうと息を吹きかけた指先はまったく温かさを浴びることなく、寒さに赤く染まりかじかむ。
スマホで現在の気温を調べると氷点下。数字として寒さを再確認するとなおさら寒く感じる。日付をまたいだ後に眠ったからまだ頭ははっきりしてない。
ぼうっと眺めていると周りは家族連れや恋人たちで賑わっている。楽しそうな様子を見ているとほっこりしてきてあったかくなってくる。
「あ、マネージャー!」
聞き覚えのある声に振り向くと、目印となる大きな赤い鳥居の前で大きく手をふっている後輩たちが見える。おーい、と手をふってくれているから見失わなあように駆け寄る。