君の熱で甘く、溶ける。
男子たちが指さしている方に視線を向けると人混みからぴょこんと、頭が飛び出た人がひとり。


短めの黒髪に少し焼けた肌。


見える目元はアーモンドの形をした瞳がきょろきょろと誰かを探しているような様子が遠くからでも見える。


「ーー逢坂(おおさか)くん」


「おーい部長〜!あけおめです!!」


おーい!とさっき私にしたように1年生たちがぶんぶんと手をふると逢坂くんがこちらに気づき手を振り返す。


人混みから頭ひとつ抜きん出た逢坂くんは体が大きいからか人混みの間を縫うように慎重に歩み寄ってくる。


「あけましておめでとう。よく俺のこと見つけられたなあ」


「そりゃ部長デカいからすぐ見つかりますよ」


「え、俺そんなに目立つ?」


けらけらと楽しそうに逢坂くんと1年生は敬語は混じってはいるもののまるで同級生のように話してる。


そういえば、逢坂くんの身長が人よりだいぶ高くて目印になるからと去年も今年と集合場所決めなくていいかって話になったんだったと思い出す。
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