シッディ童話

　クラス中が皆、彼らを見ているとき、ただ一人で本を読んでいる奴がいた。
「……月宮新はあいつか？」
　宗馬は男子クラスメイトに声をかけた。
「そうだけど……」
　男子クラスメイトは宗馬の顔を見て戸惑いながら、一言だけ言う。
「…ありがとう。良、行くぞ」
　宗馬はニコッと男子クラスメイトに声をかけてから、月宮新に向かった。
「お前が月宮新だな」
　宗馬は月宮の机をバンと叩き、睨んだ。
　その一方で、良は無表情に宗馬の隣に立ち、同じく月宮を見つめた。
「……なに」