きみのためならヴァンパイア
紫月の気持ちがまったくわからないといえば嘘になる。
だって紫月は、私のことをエサでもモノでもないと言ってくれた。
でも、まだ、私の中で確信してるわけじゃない。
私はどうしようもなく怖がりで、だから、紫月の気持ちをわかってるなんて言うわけにはいかないんだ。
「じゃあ、なんでお前と一緒にいるかはわかってる?」
「……なんで?」
こっちの質問の答えの方が、私にとっては難しい。
そもそもどうして、紫月は私なんかを拾ったのかもわからない。
「……俺は、お前がいるだけで救われてるんだよ」
「す、救われ……私、そんなに大層なことした?」
「いるだけでいいんだっての。だから今さら手放したりしねぇよ」
「……えっと、それじゃあ、今まで通りーー一緒にいてくれるってこと……?」
「……お前がそれでいいならな。でも、さっきの返事はいつかするから覚悟しとけよ」
つまり、私の……こ、告白の返事ってこと?
覚悟しとけと言われても、わかりましたなんてすぐには言えない。
「ぜ、善処します……」
そう言うとまた、紫月は私にキスをした。
沸騰しそうな脳みそで、私はこれからのことを必死に考えていた。