きみのためならヴァンパイア
「どうするって……?」
「これから俺に、何してくれんの?」
思いもよらない質問だ。
言うことを聞け、ってばかりじゃなくて、ちょっとは自分で考えろって言いたいのかも。
だとすればそれは、ごもっとも。ちょっと反省した。
とはいえ、私に何ができるだろう。
外に出れば襲われるし、なーんにも持ってない。
たいした特技だってないし、それでも強いて言えば得意なことは。
「ごはんとか……作れるよ!」
「はっ、メシ? ヴァンパイア相手に?」
私の記憶が確かなら、ヴァンパイアだって食事をとるはずなんだけど。
「……もしかして、血しかいらない?」
「普通に食うけど、ヴァンパイアの味覚は人とは違う」
「え……そうなの? 普段何を食べてるの?」
間宮紫月は、リビングから繋がるキッチンを指差した。
キッチンを見に行くと、ほとんど使われた形跡のないコンロとシンク、それと冷蔵庫が置いてある。
でも、生活感はない。
ラックに積み上げてあるのは、栄養補助食品の山。
どれもこれもプレーン味だし、あまりに偏食すぎると思う。
「いつも食べてるの、これだけ!?」
「そうだけど」
文句でもあるのかと言いたげな視線を感じる。
文句はないが、これでいいのかと問いたい気分だ。