彼女はまだ本当のことを知らない
 ランスロットもそれがわかっていたのか、その言葉を聞いてニヤリと笑うと、彼女の腰を抱き立ち上がった。

「きゃっ」
「しっかり掴まっていて」

 彼女に自分の腰へ足を絡めさせ、逞しい腕で抱え上げると、そのまま隣の部屋へと進む。
 そこには豪華な天蓋付きの寝台が置かれていて、その上に仰向けに彼女を横たえさせた。

「タニヤ、いくよ」

 太ももに手を置いてグッと足を開かせると、敏感な部分に先端を擦り付けてから、膣路を太くて熱いものが侵入してきた。

「!!!!!!」

 タニヤはそのあまりの衝撃に体を強張らせた。

「タニヤ、力を抜いてくれ、それでは入らない」
「や、そんな…無理です。痛い」

 体に走った痛みに涙が滲む。全身に力が入り呼吸もままならないタニヤの頭をテイラーはそっと撫で、溢れかけた涙を口で拭ってやった。

 そのあまりの優しい手つきにタニヤが、パチクリとヘーゼルナッツ色の瞳を見開く。

「ごめん、痛いね。でも約束する。痛みの先にはきっと素敵な体験が待っているから」

 そう言ってタニヤの髪や額、鼻先や頰、顎とキスの雨を降らせ、最後に唇を塞ぐ。

「ん……」

 舌が唇を割って入ってきて、歯列をなぞり上顎を突き、怯えるタニヤの舌に絡みつく。
 その間に手は豊かな胸を揉みしだき、先端の乳首をコリコリと摘んで刺激を与える。

 次第にタニヤの体の緊張が解れてきたのを確認すると、テイラーは更に彼女の中へと自身を押し進めた。

「………!!」

 ようやく半分が入ったところで止め、タニヤの様子を窺う。
 まだ少し苦しそうに喘いでいるが、さっきよりは顔に込めた力が緩んでいる。

「タニヤ、わかる? 俺のが君の中にいるの。君の中はとても気持ち良い。俺のに絡みついて離さないと言っているようだ」
「……中…いっぱい…すご…」

 初めての体験にタニヤは何を言っていいのかわからない。
 初めては痛いと言っても、注射は怖くないタニヤは自分なら大丈夫だと言う訳のわからない自信があった。
 皆経験しているのだし、痛いだけなら皆あんなに楽しんだりしないだろう。
 山登りだって途中はキツくても、山頂に達した爽快感がクセになって、何度も人は登る。

 更にグッとテイラーが腰を押し込み、やがてお腹の奥に何かが当たったのを感じた。

「全部、入ったから、タニヤの一番奥、当たってるのわかる?」

 琥珀色の瞳を輝かせ、少し顔を強張らせて問いかけるテイラーを見て、苦しいのは自分だけでないのだとタニヤは悟った。
 これまで男性を受け入れたことがないタニヤのそこは、とても狭い。そこへ太いテイラーのものを差し込むのだ。あそこだって体の一部で痛みを感じる。締め付けられてキツイはずだ。

 でも自分のそんな辛さをひとことも口にせず、ひたすらタニヤのことだけ気遣い言葉をかけ、優しく触れてくれるのを見て、皆が彼に夢中になるのがわかった。

 恵まれた立場や容姿だけでなく、他人を気遣い優しく接する。時には勇敢に、危険を顧みず隊長という責務を全うし、皆を導く。そんな彼に自分は今、優しく抱かれているのだ。

 ポロリと、タニヤの目からまたもや涙が溢れた。

「タニヤ、まだ痛いか?」

 問いかけるテイラーに、ふるふると頭を振って答える。

「ちが…違うんです。これは…」

 今度は自分の手で涙を拭うと、タニヤは真っ直ぐにテイラーを見つめた。

「私…幸せで…初めてが隊長で嬉しいです。ありがとうございます」

 正直にそう言うと、タニヤの中のテイラーのものがまた大きくてなったのを感じた。

「俺こそ…タニヤの初めてを貰えて最高の気分だ。大事な宝物をくれてありがとう」

 過去と未来、彼が抱くだろう数多の女性の中の一人だとしても、彼が相手で本当に良かった。

「タニヤ、そろそろ動いていい?」

 許可を求める彼に「ええ」と小さく答えた。
 それを聞いてテイラーはゆっくり腰を動かし始めた。

「あ…」

 動くたびにタニヤの中を擦る場所が少しずつ変わる。感じたことのない快感にタニヤは打ち震え、お腹の奥からまたも温かいものが流れ蜜が零れ落ちる。
 それがテイラーの動きをどんどん滑らかにし、次第に彼の動きも速くなって行った。
 ジュブジュブと泡立つ音がとパンパンと肌がぶつかる音、そしてギシギシ揺れる寝台。呼吸もどんどん荒くなっていく。
 揺さぶられ揺れ動く乳房に時折齧り付きながら、テイラーの動きは増々激しくなって行った。

「あ、ああ…」

 次第に極まっていく快感に、タニヤは翻弄され、何かが弾けるような感覚が不意に襲ってきた。
 背中を反らせ、シーツをぎゅっと握りしめ、全身に力を込め、中のテイラーのものを締め付けた次の瞬間、一気に脱力した。

 
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