若頭
――どんな形であろうとも、未来的にいつかは、こうなるともう既に、ずっと前から理解していた。
そう、嫌でも……。
どれ程、否定してでも受け入れなければならない操り人形のような人間だったから。
三ノ宮組で生まれた女性という性別、その時点で私の人生は私の自身のものでありながらと同時にそうでは無かった。
自分は女性として性を受けてこの世に生まれてきたのだから、将来的に、この三ノ宮組を守る為、強める為、維持する為に……使われる。
どんな悪どい手を使ってでも繋ぎ目の駒として、この身をいち商品として、どのような形や方法であろうとも売却されると。
父親の書斎に帰宅後直ぐに呼び出され、目の前で大きな花瓶を叩きつけられ、破片が地面に散らばる。
「黒鉄組の若頭だぞ!!!! この親不孝者め!! あちらの気が変わったらどうするつもりだ?! お前みたいな小娘が取れるような責任があると思うのか!!!!」
――……ガチャ。
「貴方……外まで響いてますよ、健康にも悪いですから……少し落ち着いて……」
「女の分際で家のことに口出しをするな!!」
「は、はい……」
「どうすれば良いのかもう理解しているんだろう? 生意気な。今すぐ自分自身で連絡をするんだ。話はその後だ」
暴言を吐き続ける目の前の化け物のような父親の目の前で執事が電話番号を打ち込んだ後、スピーカーにした状態で私へスマホを渡す。