Snow blossom
第28話
雪と桜が電車に乗って行こうとしていたところはカラオケのお店だ。
少し前に合コンのようなカラオケがあったのだが、桜は、部活のため参加できなかった。
雪と桜が付き合うようになって、初めての2人デートだ。密室な空間で歌を歌う。
その状況にお互いに耐えられるのだろうかと心中穏やかではなかった。
桜の場合は緊張して、心臓が耐えられるか。
雪の場合は理性をおさえられるかの問題だ。
それぞれ悩むところが違う。
瑞希は、
2人の後ろをついてきたが、
結局どうしたらいいかわからなくなって、
街中のゲーセンのUFOキャッチャーで
遊んで時間潰ししていた。
つまりは尾行は失敗したのだ。
駅前付近のカラオケは1件や2件ではない。
見失ったのだ。
追いかけてどうしようと何の計画は立ててない。かわいいハリネズミのぬいぐるみに夢中になっていると、隣から声をかけられた。
「やっほ。綾瀬だよね?」
雪の天敵の菊地だった。
(これはどっちで声かけられたことに
しようかな。)
瑞希は、ひらめいた。
「そう、桜。」
瑞希は、嘘をついた。
「意外だね。桜ちゃんが、
ここで遊んでるなんて。
何、1人?」
「そう。1人でこのハリネズミに必死に
なってた。」
桜は菊地とどんな様子で会話していたなんて覚えていない。適当に交わした。
「そうなんだ。
てっきり、ほら。
漆島と付き合ってると思って。
あー、あれ、妹ちゃんの方だっけ。」
「そうそう。瑞希の方だよ。」
(本人、嘘ついてます。私のことだよーだ。)
「いや、本当、双子って
見分けつかないよね。
何で変化つけてるの?」
「さぁ、見てくれる人の判断かな。」
「ねぇ、本当に桜ちゃん?」
菊地は、そっと瑞希の近くに寄った。
頭のてっぺんからつま先までじっくりと
見る。双子の違いが見つけられない。
「なんで?桜だよ。
同じクラスなのに間違う?」
「だよなぁ。」
「うん、そうだよ。
間違わないで。」
「んじゃ、1人なら、
一緒にどっか行かない?
俺もちょうど1人だし。」
(これはイイカモだなぁ。)
瑞希はにやりと何かを考える。
「行く行く。
どこに行こうか。」
「カラオケ行かね?」
「いいね、それ。」
瑞希は喜んで、菊地の左腕を掴んだ。
積極的な行動をする。
本当に桜だろうかと少し疑ったが、
菊地は気にせず、瑞希をカラオケのお店に
連れて行った。
****
その頃の本物の桜と雪は、
カラオケに夢中になって、
雪が歌ったバラードにうっとりしていた。
歌いおわると、ちょうど予約曲が切れて、
配信予告映像が流れていた。
ぺったりと雪は桜の横に近づいた。
そっと太ももに触れてしまった。
「あ、ごめん。間違った。」
「ううん。大丈夫。」
アイスロイヤルミルクティが入ったジョッキにストローをさして飲んでいた桜はびっくりしていた。
コーラをコップ直飲みしてから、曲を入れずに、桜の顔を覗く。
「もう、慣れた?」
「うん。そだね。
そんなに歌うのうまくないでしょう。」
「ううん、そんなことないよ。
上手だったよ。」
「そ、そうかな。」
斜め下の方からミルクティーを飲む桜を
覗く雪は、クスッと笑う。
さらに体を近づけた。
「桜?こっち見て?」
「え?」
顔が向かい合った瞬間に口づけた。
甘い味がした。
恥ずかしくなった桜はやだーと頬をぎゅーと押した。
「良いじゃん。
よくなかった?」
「…悪くない…よ、別に。
ふ、普通。」
「普通じゃないのしていい?」
「え、それどういう…。」
話そうとする口を塞がれた。
さっきよりも長く濃厚なキスをされて、
桜は頭から煙が上がりそうになる。
顔を頬で覆った。
「恥ずかしい!!」
「可愛い〜。」
「言わないでーーー。」
デレデレの雪に桜はバシッと腕をたたく。
2人の甘い時間が流れていた。
カラオケの伝票を見ると
もうすぐ退室時間になりそうだった。
楽しい時間はあっという間に
過ぎ去るものだ。
桜は、雪にベッタリと左腕くっついて
離れなかった。
少し前に合コンのようなカラオケがあったのだが、桜は、部活のため参加できなかった。
雪と桜が付き合うようになって、初めての2人デートだ。密室な空間で歌を歌う。
その状況にお互いに耐えられるのだろうかと心中穏やかではなかった。
桜の場合は緊張して、心臓が耐えられるか。
雪の場合は理性をおさえられるかの問題だ。
それぞれ悩むところが違う。
瑞希は、
2人の後ろをついてきたが、
結局どうしたらいいかわからなくなって、
街中のゲーセンのUFOキャッチャーで
遊んで時間潰ししていた。
つまりは尾行は失敗したのだ。
駅前付近のカラオケは1件や2件ではない。
見失ったのだ。
追いかけてどうしようと何の計画は立ててない。かわいいハリネズミのぬいぐるみに夢中になっていると、隣から声をかけられた。
「やっほ。綾瀬だよね?」
雪の天敵の菊地だった。
(これはどっちで声かけられたことに
しようかな。)
瑞希は、ひらめいた。
「そう、桜。」
瑞希は、嘘をついた。
「意外だね。桜ちゃんが、
ここで遊んでるなんて。
何、1人?」
「そう。1人でこのハリネズミに必死に
なってた。」
桜は菊地とどんな様子で会話していたなんて覚えていない。適当に交わした。
「そうなんだ。
てっきり、ほら。
漆島と付き合ってると思って。
あー、あれ、妹ちゃんの方だっけ。」
「そうそう。瑞希の方だよ。」
(本人、嘘ついてます。私のことだよーだ。)
「いや、本当、双子って
見分けつかないよね。
何で変化つけてるの?」
「さぁ、見てくれる人の判断かな。」
「ねぇ、本当に桜ちゃん?」
菊地は、そっと瑞希の近くに寄った。
頭のてっぺんからつま先までじっくりと
見る。双子の違いが見つけられない。
「なんで?桜だよ。
同じクラスなのに間違う?」
「だよなぁ。」
「うん、そうだよ。
間違わないで。」
「んじゃ、1人なら、
一緒にどっか行かない?
俺もちょうど1人だし。」
(これはイイカモだなぁ。)
瑞希はにやりと何かを考える。
「行く行く。
どこに行こうか。」
「カラオケ行かね?」
「いいね、それ。」
瑞希は喜んで、菊地の左腕を掴んだ。
積極的な行動をする。
本当に桜だろうかと少し疑ったが、
菊地は気にせず、瑞希をカラオケのお店に
連れて行った。
****
その頃の本物の桜と雪は、
カラオケに夢中になって、
雪が歌ったバラードにうっとりしていた。
歌いおわると、ちょうど予約曲が切れて、
配信予告映像が流れていた。
ぺったりと雪は桜の横に近づいた。
そっと太ももに触れてしまった。
「あ、ごめん。間違った。」
「ううん。大丈夫。」
アイスロイヤルミルクティが入ったジョッキにストローをさして飲んでいた桜はびっくりしていた。
コーラをコップ直飲みしてから、曲を入れずに、桜の顔を覗く。
「もう、慣れた?」
「うん。そだね。
そんなに歌うのうまくないでしょう。」
「ううん、そんなことないよ。
上手だったよ。」
「そ、そうかな。」
斜め下の方からミルクティーを飲む桜を
覗く雪は、クスッと笑う。
さらに体を近づけた。
「桜?こっち見て?」
「え?」
顔が向かい合った瞬間に口づけた。
甘い味がした。
恥ずかしくなった桜はやだーと頬をぎゅーと押した。
「良いじゃん。
よくなかった?」
「…悪くない…よ、別に。
ふ、普通。」
「普通じゃないのしていい?」
「え、それどういう…。」
話そうとする口を塞がれた。
さっきよりも長く濃厚なキスをされて、
桜は頭から煙が上がりそうになる。
顔を頬で覆った。
「恥ずかしい!!」
「可愛い〜。」
「言わないでーーー。」
デレデレの雪に桜はバシッと腕をたたく。
2人の甘い時間が流れていた。
カラオケの伝票を見ると
もうすぐ退室時間になりそうだった。
楽しい時間はあっという間に
過ぎ去るものだ。
桜は、雪にベッタリと左腕くっついて
離れなかった。