Snow blossom
第9話
学校のトイレの鏡を見た。
蛇口に手をかざした。
自動で水が出る。
手を洗い終えると、ぴょんと立った
髪を濡らして直した。
「桜、そっちのクラスどお?」
双子の妹、瑞希が後ろから声をかけた。
「どおって、言われても。
まぁ、まずまず楽しく過ごしてるよ。」
「そうなの?
好きな人とかクラスにいるの?」
瑞希は、桜の横の蛇口で手を洗った。
「えー、ここでは言いたくないよね。」
次々と同学年の女子が行き来している。
「あ、そっか。」
「なになに、気になるなぁ。」
横から声をかけたのは石川亜香里だ。
「亜香里ちゃん。」
瑞希はニコニコと声をかけた。
同じクラスで仲良くしていた。
「私、恋バナ好きだよ。
話聞きたいな。」
「それは、
先に亜香里ちゃんの話聞いてからだよ。」
「私?
私のはまだ温めておこうかな。
電子レンジでチンって感じに。」
「私は亜香里ちゃんの話聞いてから話すよ。」
瑞希はそう答えた。
「えー、んじゃ、桜ちゃんは?」
「ん?え?急に私?
ごめん、名前、誰だっけ。」
「あー、ごめんごめん。
同じ顔してるから
瑞希ちゃんと同じノリで話しちゃった。
石川亜香里。
瑞希ちゃんと同じクラスで
仲良くしてたよ。
この間、一緒に帰ってたの覚えてない?」
「…あ、そっか。
ごめんね、この間の電車では
名前知らずに混じって話してた。
亜香里ちゃんだね。
よろしく。」
「桜ちゃんって言うんでしょ?
瑞希ちゃんから何度も話聞いてたよ。
猫の話とか…。」
チャイムが鳴る。
休み時間が終わる合図だ。
「うわ、やばい。
次、移動教室じゃない?」
「え、そうなの?」
桜は目を丸くした。
亜香里と瑞希は慌てて、教室に戻り、
化学の教科書と筆箱を持って、
化学室へ向かった。
「桜ちゃん、話は昼休みに聞くよ。
一緒にお昼ごはん食べようね。」
亜香里は手を振って、
走って化学室へ向かう。
途中、担任の五十嵐先生に会って、
廊下は走らないと注意を受けていた。
「綾瀬〜、何してるんだ?
授業サボるのか?」
五十嵐先生は、トイレから教室へ、
向かう途中桜がぼんやりしてるのを
見つけた。
「あ、すいません!!
今、席に座ります。」
「おう、そうしてくれ。」
五十嵐先生は桜が席についたことを
確認すると教壇に登って、
出席簿を開いた。
現代文の授業が始まった。
桜は、緊張して
息が上がっていた。
机の中から急いで、
教科書とノートを広げ、
筆箱からシャープペンを取り出した。
カチカチやっているうちに消しゴムが
机の下に落ちる。
それに気づかないまま、
授業を聞こうとすると
隣の席の菊地雄哉が、
落ちた消しゴムを拾って、
すぐに桜の席に置いた。
口パクでありがとうと
ジェスチャーした。
その様子を
後ろの方で
眺めていた雪は、
モヤモヤと心中穏やかではなかった。
雪の姿を亮輔は
ため息をついて
困ったやつだと思っていた。
消しゴムを落として
恥ずかしく思ったのか耳が赤くなった。
髪をとかして
耳にかけると、
何となく視線を感じた。
感じた方向を向けると
窓が開いていた。
カーテンが揺れ動いていた。
桜は気のせいかと
もとの視線に戻す。
雪は視線を送ったことをバレたのではと
思い、思いっきり違う方向を向いて
教科書で顔を隠して誤魔化した。
気づいていてはいなかった。
この行動を何度も繰り返していたら、
きっと桜本人にバレるんじゃないかと
ドキドキが止まらなかった。
桜の後ろの席にいる亮輔は
(もうバレてると思うけどな…。)
呆れて、またため息をついた。
蛇口に手をかざした。
自動で水が出る。
手を洗い終えると、ぴょんと立った
髪を濡らして直した。
「桜、そっちのクラスどお?」
双子の妹、瑞希が後ろから声をかけた。
「どおって、言われても。
まぁ、まずまず楽しく過ごしてるよ。」
「そうなの?
好きな人とかクラスにいるの?」
瑞希は、桜の横の蛇口で手を洗った。
「えー、ここでは言いたくないよね。」
次々と同学年の女子が行き来している。
「あ、そっか。」
「なになに、気になるなぁ。」
横から声をかけたのは石川亜香里だ。
「亜香里ちゃん。」
瑞希はニコニコと声をかけた。
同じクラスで仲良くしていた。
「私、恋バナ好きだよ。
話聞きたいな。」
「それは、
先に亜香里ちゃんの話聞いてからだよ。」
「私?
私のはまだ温めておこうかな。
電子レンジでチンって感じに。」
「私は亜香里ちゃんの話聞いてから話すよ。」
瑞希はそう答えた。
「えー、んじゃ、桜ちゃんは?」
「ん?え?急に私?
ごめん、名前、誰だっけ。」
「あー、ごめんごめん。
同じ顔してるから
瑞希ちゃんと同じノリで話しちゃった。
石川亜香里。
瑞希ちゃんと同じクラスで
仲良くしてたよ。
この間、一緒に帰ってたの覚えてない?」
「…あ、そっか。
ごめんね、この間の電車では
名前知らずに混じって話してた。
亜香里ちゃんだね。
よろしく。」
「桜ちゃんって言うんでしょ?
瑞希ちゃんから何度も話聞いてたよ。
猫の話とか…。」
チャイムが鳴る。
休み時間が終わる合図だ。
「うわ、やばい。
次、移動教室じゃない?」
「え、そうなの?」
桜は目を丸くした。
亜香里と瑞希は慌てて、教室に戻り、
化学の教科書と筆箱を持って、
化学室へ向かった。
「桜ちゃん、話は昼休みに聞くよ。
一緒にお昼ごはん食べようね。」
亜香里は手を振って、
走って化学室へ向かう。
途中、担任の五十嵐先生に会って、
廊下は走らないと注意を受けていた。
「綾瀬〜、何してるんだ?
授業サボるのか?」
五十嵐先生は、トイレから教室へ、
向かう途中桜がぼんやりしてるのを
見つけた。
「あ、すいません!!
今、席に座ります。」
「おう、そうしてくれ。」
五十嵐先生は桜が席についたことを
確認すると教壇に登って、
出席簿を開いた。
現代文の授業が始まった。
桜は、緊張して
息が上がっていた。
机の中から急いで、
教科書とノートを広げ、
筆箱からシャープペンを取り出した。
カチカチやっているうちに消しゴムが
机の下に落ちる。
それに気づかないまま、
授業を聞こうとすると
隣の席の菊地雄哉が、
落ちた消しゴムを拾って、
すぐに桜の席に置いた。
口パクでありがとうと
ジェスチャーした。
その様子を
後ろの方で
眺めていた雪は、
モヤモヤと心中穏やかではなかった。
雪の姿を亮輔は
ため息をついて
困ったやつだと思っていた。
消しゴムを落として
恥ずかしく思ったのか耳が赤くなった。
髪をとかして
耳にかけると、
何となく視線を感じた。
感じた方向を向けると
窓が開いていた。
カーテンが揺れ動いていた。
桜は気のせいかと
もとの視線に戻す。
雪は視線を送ったことをバレたのではと
思い、思いっきり違う方向を向いて
教科書で顔を隠して誤魔化した。
気づいていてはいなかった。
この行動を何度も繰り返していたら、
きっと桜本人にバレるんじゃないかと
ドキドキが止まらなかった。
桜の後ろの席にいる亮輔は
(もうバレてると思うけどな…。)
呆れて、またため息をついた。