四葉のクローバーを探して
 花びらを髪にいっぱい付けた舞は嬉しいのか恥ずかしいのか複雑な顔をしている。
「なかなか可愛いじゃん。」 「でもさあ、こんなに花びらいっぱい付けたら変だよ。」」
確かにそうだな。 でもなんかアニメに出てきそうな、、、。

 そうそう、ぼくと舞は幼稚園の頃から仲良しだった。
それはそれは保母さんたちも妬いてしまうくらいだったね。
 「康太君と舞ちゃんは幼稚園一の仲良しだねえ。 将来は結婚するのかな?」って新人の保母さんたちは毎日噂してたっけ。
 次の日、学校ではオリエンテーションが行われた。
 「いいか。 今日は授業が行われる教室をみんなに見てもらう。 特に理科と社会と音楽は特別教室でやるから席もみんなで決めるように。」
貝原先生はそう言うと先頭に立って歩いていく。
 ぼくらの教室は2棟一階の隅っこだ。 そこからあっちへこっちへ走り回ることになる。
一階には他に特別支援学級が有って、そこには足が不自由な子とか耳の聞こえない子たちが居る。
「この教室もお前たちと同じ学年の子が居るから仲良くしてやるんだぞ。」
 「先生、この人たちも同じような授業をするの?」 一番うるさい今田陽介が聞いた。
「もちろんだよ。 足や耳が悪くても勉強は普通通りだ。」 「じゃあさあ、体育も?」
「それは出来ることと出来ないことが有るから臨機応変にな。」
 2年聖夜3年生の先輩たちも物珍しそうな目でぼくらを見ている。
 「こらこら、高村 偉そうな顔をするんじゃない。 ビビるだろうが。」 「へへへ。」
「笑ってごまかすな。 バカ。」 「バカだって。」
 ぼくら1組の生徒が教室を回っている頃、2組3組の生徒たちも同じように教室を回っていた。

 1組の教室に戻ってくると今度はクラス委員を決める話し合いだ。
それだけで午前中は終わってしまって下校時間になった。
 校門を出ると舞は早速ぼくにくっ付いてきた。 「どうしたの?」
「なんか疲れちゃってさあ。 どっか遊びに行こうよ。」 「遊び?」
「うん。」
 それでぼくらは幼稚園の頃から遊んでいた小さな公園に行くことにした。

 ブランコに揺られていると爺ちゃんが言っていたことを思い出す。
(ぼくらに何が有るんだろう? いずれ分かるって爺ちゃんは言ってたけど気になるよね。)
 ヒバリが楽しそうに飛んでいる。 上のほうには気持ち良さそうに雲が流れている。
隣のブランコには舞が座っている。 ゆらりゆらり、、、。
 気持ちがいいくらいに暖かくて寝そうになってしまう。 「いてーーーーー!」
「どうしたの? あらあら大丈夫?」 ぼくの大声に振り向いた舞は唖然とした。
ゆらゆらしていたら眠くなっちゃってブランコから落ちちゃったんだ。 「ケガは無い?」
やっと立ち上がったぼくに真剣な顔で舞は聞いてくる。 「大丈夫。 頭は打っちゃったけど、、、。」
「ほんとに大丈夫? 病院に行かなくてもいいの?」 「そこまでひどくないから。」
 それにしても迂闊だったなあ。 ブランコで居眠りするなんて、、、。
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