色褪せて、着色して。~沈丁花編~

ゴタイメン

「安心しな。娼婦館(うち)の客は50代以上のお金に余裕のある人間しかいねえから」
 事前にトペニに説明されたが。
 憂鬱MAXであることは変わらない。

 襖が開くと。
 男性が入ってきた。
 私は立ち上がる。
「お客様、ごゆっくりー」
 と襖越しにトペニの声がした。

 身体が動かない。
 声が出ない。
 目の前の男はじーと私を見ている。
< 41 / 74 >

この作品をシェア

pagetop