色褪せて、着色して。~沈丁花編~
 すべてが解決したのは、明け方だった。
 逃げだした人達がいたそうだけれど、時間の問題だとファスト様が言っていた。

 マスターは果たして捕まるのだろうかと疑問に思ったけど。
 もう、他人のことを考えている余裕なんてなかった。

 城の応接室で、ぐったりと座り込んで。
 誰も居ない間、ぐずぐずと泣いた。
 なんで太陽様が助けにくるんだろう…。
 王家に嫌われてもいい、騎士団から疎まれたっていい。
 太陽様だけには、あんな目で見られたくなかった。

 絶対に軽蔑された。
 悪い事なんかしていないのに。
 あんな目で見ないで…。

 鼻をすすって。
 涙を拭っていると。
 ファスト様とクリス様が入ってきた。
 私は立ち上がる気力もなく、泣いたまま2人を睨みつけてやった。
 2人は驚いて目をそらした。
「任務はすべて終了しました」
 年長者らしくファスト様が言った。
「そうですか、じゃあ帰ります」
 立ち上がると、よろよろと身体が傾いた。
 慌ててクリス様が私に近寄って「大丈夫ですか」と言ってくれる。
「送らせてください」
「・・・・・・」
 美しい顔で、クリス様が言うので。
 もう、黙り込んでやった。
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