色褪せて、着色して。~沈丁花編~
てっきり国王…ローズ様に呼び出されたのかと思っていたから。
トペニと言う名に驚く。
馬車が辿り着いたのは築何年だろうと思うような木造のボロボロの建物だ。
クリス様が案内してくれたのは、その建物にある地下で。
湿気でモワッとした空気に顔をしかめた。
鉄格子の向こうに座り込むトペニが目に入ると。
トペニは「よっ」と明るい声を出した。
トペニはすぐに立ち上がって、鉄格子の近くまで来た。
「悪かったな。お姫様。こんなところまで呼び出しちまって」
「…で、用事というのは?」
牢屋にいるのはトペニだけのようだ。
げんなりとしながらトペニを見る。
トペニの顔には泥だろうか…汚れがついている。
服装は騎士団の…制服のままだったけど。
破れて、汚れてしまっている。
酷い仕打ちを受けたのは明白だというのに。
トペニはニコニコ笑っているだけだ。
自分の国だったら絶対に考えられない。
彼の犯した罪はそんなに大きいのだろうか…
「いやあ。まさか、来てくれるとは思わなかったなー」
とニヤニヤ笑うトペニに対して。
隣に立っていたクリス様が「おい」と低い声でトペニを威嚇した。
あまりにも怖い顔をしたので、私のほうが、ビクッとしてしまう。
「わかってるよ。時間がねえのは。そうそう。悪かったな。お姫様。怖い思いさせて。謝りたかったんだ」
「……」
謝られるとは思わなかったので、言葉が出てこない。
「何だよ。そのしかめっ面は。あんたは顔だけは良いんだから、笑顔でいてくれ」
「話はそれだけだったら、帰らせてもらうぞ」
クリス様は嫌悪感をむきだしてトペニに言った。
こんなに機嫌の悪いクリス様を見るのは初めてだった。
美しい顔が台無しだ…。
「はいはい。あと一つだけ。俺の遺言」
「遺言?」
「そう。俺はもうおしまいだからさ。あんたに託したいんだ。あそにいる女の子たちを」
何を言っているのか理解できなかった。
遺言という言葉にまさかと思った。
クリス様を見ると、クリス様は黙って首を横に振る。
「え…だって。人を殺したわけじゃないのに。何でそんな」
「…この男が最後です。あとの人間は始末されましたよ」
すーと身体が冷えていくのを感じた。
トペニと言う名に驚く。
馬車が辿り着いたのは築何年だろうと思うような木造のボロボロの建物だ。
クリス様が案内してくれたのは、その建物にある地下で。
湿気でモワッとした空気に顔をしかめた。
鉄格子の向こうに座り込むトペニが目に入ると。
トペニは「よっ」と明るい声を出した。
トペニはすぐに立ち上がって、鉄格子の近くまで来た。
「悪かったな。お姫様。こんなところまで呼び出しちまって」
「…で、用事というのは?」
牢屋にいるのはトペニだけのようだ。
げんなりとしながらトペニを見る。
トペニの顔には泥だろうか…汚れがついている。
服装は騎士団の…制服のままだったけど。
破れて、汚れてしまっている。
酷い仕打ちを受けたのは明白だというのに。
トペニはニコニコ笑っているだけだ。
自分の国だったら絶対に考えられない。
彼の犯した罪はそんなに大きいのだろうか…
「いやあ。まさか、来てくれるとは思わなかったなー」
とニヤニヤ笑うトペニに対して。
隣に立っていたクリス様が「おい」と低い声でトペニを威嚇した。
あまりにも怖い顔をしたので、私のほうが、ビクッとしてしまう。
「わかってるよ。時間がねえのは。そうそう。悪かったな。お姫様。怖い思いさせて。謝りたかったんだ」
「……」
謝られるとは思わなかったので、言葉が出てこない。
「何だよ。そのしかめっ面は。あんたは顔だけは良いんだから、笑顔でいてくれ」
「話はそれだけだったら、帰らせてもらうぞ」
クリス様は嫌悪感をむきだしてトペニに言った。
こんなに機嫌の悪いクリス様を見るのは初めてだった。
美しい顔が台無しだ…。
「はいはい。あと一つだけ。俺の遺言」
「遺言?」
「そう。俺はもうおしまいだからさ。あんたに託したいんだ。あそにいる女の子たちを」
何を言っているのか理解できなかった。
遺言という言葉にまさかと思った。
クリス様を見ると、クリス様は黙って首を横に振る。
「え…だって。人を殺したわけじゃないのに。何でそんな」
「…この男が最後です。あとの人間は始末されましたよ」
すーと身体が冷えていくのを感じた。