色褪せて、着色して。~沈丁花編~
 勢いよく行動したのは良かった。
 だが、目の前にいるトペニを見て。
 今になって「どうしよう」という不安で押しつぶされる。

 馬車に乗って。
 自宅に戻る途中にバニラがよぎった。
いきなり、この得体の知れない男を連れて行ってはいけないと頭の中で警報が鳴る。

 考えた末に浮かんだのは、サンゴさんだった。
 自宅を通り過ぎて。
 サンゴさんの家まで行くしかなかった。
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