色褪せて、着色して。~沈丁花編~
 バニラがドアを開ける音がした。
 私は、一瞬。部屋に籠ろうかと思って立ち上がった。
 太陽様の顔を見る勇気がなかった。

 だが足が動かないまま。
 すぐに目の前に太陽様がやって来た。

 心臓がドクドクドクドクと大きな音をたてた。

「セシルさん。大事な話があります」
「…ごめんなさい。私、聴きたくないです」
 とっさに拒否すると、近くにいたバニラが「マヒル様?」と驚いた表情をしている。




「セシルさん、俺と離婚してください」



 太陽様の言葉に目の前が白くなった。
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