色褪せて、着色して。~沈丁花編~
ハシリダセ
途中、休憩したり道に迷ったりして絶望した後。
通りがかりの馬車を無理矢理止めて、途中まで乗せてもらった。
どっちかといえば、人見知りする私が知らないおじいさんに話しかけることが出来て。
自分偉いぞ…と自分自身を褒めてやる。
人通りの少ない道を歩いて行けば、
やがて辿り着いたサンゴさんの家を見て泣きそうになった。
「ごめんくださーい」
ありったけの声を出して、戸をガラガラ引くと。
奥から、ジョイさんと後ろから隠れるようにカイくんが出てきたので。
「え、家間違えた!?」と声に出して驚いてしまった。
ジョイさんは普段、騎士団の制服を着ているはずなのに。
今、見る限り私服・・・? 姿だった。
首を傾げてしまうのは、趣味の悪いスーツ姿。
ワインレッド色のワイシャツに蝶ネクタイ、ゴールドのベルト。
下はグレイのズボンといったところ。
柄の悪い格好…と言ってしまったらそれまでだけど。
赤い髪の毛にイエローグリーンの瞳がじっとこっちを見た。
「なんだよ、マヒルちゃんか」
「えっと、なんでジョイさんが? サンゴさんは?」
私が言うと、ずいっと隠れていたカイくんが前に出てきて。
いつも手に持っているスケッチブックに何かを書き込んだ。
「サンゴさんは、外出中」
お世辞にも言えないが、綺麗ではない字が並んでいる。
「今日はね、俺とマリアちゃん。非番でね。国の英雄に頼まれてこいつらの面倒見に来たわけよ」
「こいつら?」
「まあ、立ち話もなんだから上がって」
いや、ジョイさんの家じゃないのに…。
と思いながら中へ入ることにした。
居間を覗くと。
この国では珍しい囲炉裏の前で見覚えのあるメンバーが座ってお喋りしている。
「あ、マヒル様だ!!」
私を見て、屈託ない笑顔で迎えてくれるのはセリくんとキキョウくん。
くるりと振り返って「お」と声を漏らすのはジョイさんと同様、私服姿のマリアちゃんだ。
マリアちゃんは白いシャツにジーパンというシンプルな格好をしている。
「おいおい、お客様かーい?」
とチャラい声が聞こえて。
見ると、トペニと料理本を持ってげっそりとした顔のナズナくんがいた。
トペニは半袖短パン姿…おそらくサンゴさんの服を借りて着ているのだろう。
両手で寸胴鍋を持っている。
「みんな、お揃いで今日は何かのパーティーなの?」
カイくんに訊くと。
カイくんはにっこりと笑った。
「マヒルちゃんだっけー。今日は俺の歓迎会してくれるんだってさー。うひょひょー」
とトペニが言ったので。
「は? 初対面で!?」
と皆の顔を見てしまった。
トペニが鍋を置いて、蓋を開けると。
中から美味しそうな…クリーム系の匂いがした。
「ナズナ、大丈夫なんだろうな。この男の料理は」
マリアちゃんが眉毛を吊り上げて料理を眺めている。
4人の男の子の中で一番、優秀かつリーダー格であるナズナくんは眼鏡のズレを直すと。
「途中からこの人がテキトーに作りだしたので、わかりません」
とため息まじりに言った。
通りがかりの馬車を無理矢理止めて、途中まで乗せてもらった。
どっちかといえば、人見知りする私が知らないおじいさんに話しかけることが出来て。
自分偉いぞ…と自分自身を褒めてやる。
人通りの少ない道を歩いて行けば、
やがて辿り着いたサンゴさんの家を見て泣きそうになった。
「ごめんくださーい」
ありったけの声を出して、戸をガラガラ引くと。
奥から、ジョイさんと後ろから隠れるようにカイくんが出てきたので。
「え、家間違えた!?」と声に出して驚いてしまった。
ジョイさんは普段、騎士団の制服を着ているはずなのに。
今、見る限り私服・・・? 姿だった。
首を傾げてしまうのは、趣味の悪いスーツ姿。
ワインレッド色のワイシャツに蝶ネクタイ、ゴールドのベルト。
下はグレイのズボンといったところ。
柄の悪い格好…と言ってしまったらそれまでだけど。
赤い髪の毛にイエローグリーンの瞳がじっとこっちを見た。
「なんだよ、マヒルちゃんか」
「えっと、なんでジョイさんが? サンゴさんは?」
私が言うと、ずいっと隠れていたカイくんが前に出てきて。
いつも手に持っているスケッチブックに何かを書き込んだ。
「サンゴさんは、外出中」
お世辞にも言えないが、綺麗ではない字が並んでいる。
「今日はね、俺とマリアちゃん。非番でね。国の英雄に頼まれてこいつらの面倒見に来たわけよ」
「こいつら?」
「まあ、立ち話もなんだから上がって」
いや、ジョイさんの家じゃないのに…。
と思いながら中へ入ることにした。
居間を覗くと。
この国では珍しい囲炉裏の前で見覚えのあるメンバーが座ってお喋りしている。
「あ、マヒル様だ!!」
私を見て、屈託ない笑顔で迎えてくれるのはセリくんとキキョウくん。
くるりと振り返って「お」と声を漏らすのはジョイさんと同様、私服姿のマリアちゃんだ。
マリアちゃんは白いシャツにジーパンというシンプルな格好をしている。
「おいおい、お客様かーい?」
とチャラい声が聞こえて。
見ると、トペニと料理本を持ってげっそりとした顔のナズナくんがいた。
トペニは半袖短パン姿…おそらくサンゴさんの服を借りて着ているのだろう。
両手で寸胴鍋を持っている。
「みんな、お揃いで今日は何かのパーティーなの?」
カイくんに訊くと。
カイくんはにっこりと笑った。
「マヒルちゃんだっけー。今日は俺の歓迎会してくれるんだってさー。うひょひょー」
とトペニが言ったので。
「は? 初対面で!?」
と皆の顔を見てしまった。
トペニが鍋を置いて、蓋を開けると。
中から美味しそうな…クリーム系の匂いがした。
「ナズナ、大丈夫なんだろうな。この男の料理は」
マリアちゃんが眉毛を吊り上げて料理を眺めている。
4人の男の子の中で一番、優秀かつリーダー格であるナズナくんは眼鏡のズレを直すと。
「途中からこの人がテキトーに作りだしたので、わかりません」
とため息まじりに言った。