色褪せて、着色して。~沈丁花編~
 すっかりと日は沈んで。
 夜の帳が広がる頃。
 子供4人。
 元、罪人1人。
 そして、現役の騎士2人。
 そしてニセ王族である私という。
 言葉にしてしまえば、カオスすぎるメンバーが。
 居間に揃ってご飯を食べながら会話をしている。

 トペニの口から出た「娼婦」という言葉に私は憤慨するしかなかった。
 だが、トペニはへらへらしていた顔をすぐに真顔にした。
「あのな、こいつらはもう14歳。あんたから見れば子供かもしれないけど。世間のことはわかってるはずだ」
「だからって、人の秘密をずけずけと…」
「つうか。こいつら、あんたが国王の愛人だって知ってるわけだし。隠すもんなんて何もないって」
 勘弁してくれよ…。
 私は頭を抱え込んだ。
 ちらりとカイくんを見る。
 カイくんがスケッチブックに「娼婦ってなに?」とでも書きだしたらどうしよう。

 一気に静まり返った空気の中。
 黙々とジョイさんだけはご飯を食べている。
「あ、あの。マヒル様」
 沈黙を破ったのは、セリくんだった。
 セリくんは4人の中で一番背が高くて、細身だけど一番の食いしん坊な子。
「マヒル様が太陽様と喧嘩なさったのは、マヒル様が娼婦として働いていたのを見てしまったからですか?」
「・・・・・・」
 そんな質問をされるとは思っていなかったので黙り込んでしまう。

 マリアちゃんやジョイさん、ナズナくんとカイくんは目を合わせようともせず。
 うつむいている。
「あの。俺、思うんですけど。娼婦って仕事、そんなに悪い仕事なんですか?」
「へ…?」
< 65 / 74 >

この作品をシェア

pagetop