色褪せて、着色して。～沈丁花編～
　子供たちがそれぞれ、怖い話をしたと思えば。
　トペニが都市伝説的な話を延々と話してくれて。
　間にマリアちゃんやジョイさんが面白い話で和ませてくれて。
　脅えて笑って。
　楽しい時間だった。

　夜明け前に皆、力尽きて眠ってしまって。
　私も気づいたら、寝ていたみたいで。
　美味しそうなご飯の匂いに、ぱっちりと目を覚ました。
　誰かが毛布をかけてくれたみたいで。
　起き上がると視界に入ったのは、カイくんとナズナくんが囲炉裏で何かを作っていた。
「おはよ・・・。偉いね。ご飯作ってるんだ」
　ナズナくんに話しかけるとナズナくんは「うわっ」と驚いて身体を震わせる。
「あ、ごめん。急に話しかけちゃって」
「いえ…おはようございます」
　目を合わせてくれないナズナくんに嫌われちゃったかなと思いながらも。
　洗面所へ向かう。
　端っこにはマリアちゃんとジョイさんがぐっすりと眠っていて。
　疲れているんだな…と思った。

　カイくん達が用意してくれた焼きたてのパンとスープを食べていると。
　匂いに気づいてマリアちゃんとジョイさんがフラフラしながら起き上がった。
　姿の見えなかったトペニ、セリ、キキョウくんがやって来てそれぞれ朝食を食べる。

「私、帰るね。ちゃんと太陽様と話し合うよ」

　皆に言うと、「それがいい」と言って頷いた。
　ジョイさんは午後から仕事なので。もう一度寝ると言ってゴロンと寝転がってしまい。
　マリアちゃんは仕事があるからついでに送っていくと言って。
　馬車を用意してくれた。

　カイくん達に別れを言って。
　馬車に乗り込むと目の前にマリアちゃんが座る。
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表紙・目次

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