色褪せて、着色して。~沈丁花編~
ハジメマシテ
バニラがいるだけで、こんなに力強いことはない。
たとえ、王妃に何を言われようが、
こっちには、バニラという最強の妖精がいるし、
最悪、バックにはスカジオン王国のテイリーだっている。
しかし。
最愛の夫の愛人に会いたいなんて、どういう神経の持ち主なのだろう。
よっぽどの変わり者なのだろうか。
お茶会当日。
紺色のワンピースを着て。
手土産にと、バニラが花束を用意した。
「目の前でコレを踏みつけられても、捨てられてもいいように心の準備は出来ていますわ」
迎えられた馬車に乗って。
バニラは恐ろしいことを言った。
完全に目は狂気に満ちている。
「そもそも、王族なんてどこの国へ行っても、ろくな人間なんていないのです」
「あのー、バニラ? どうしちゃったの?」
ぶつぶつと何かを言っているバニラに、若干ドン引きしながら。
馬車はゆっくりと宮殿のほうへと向かっていく。
普段、利用している講堂の近くをあっさりと通過して。
厳重な警備のもと、奥へ奥へと進んで行く。
怖そうな騎士団の男性たちがこっちを睨んでいるように見えて。
慌てて目をそらす。
何度、馬車が止まって門が開いたことか…。
やがて馬車が立ち止まると。
御者が扉を開けてくれた。
外に出て。
庭園を見た瞬間「ひろっ」と声を漏らしてしまった。
身近な人の庭園といえば、カスミ様のお屋敷だけれど。
カスミ様のお屋敷の2倍は大きいのではなかろうか。
案内されたのは、白いガゼボだった。
屋根の下には、円形のテーブルがあって。
白いテーブルクロスが引かれてある。
「いよいよですわね」
後ろでバニラが言った。
今のところ、何もかも無事だ。
ここでいきなり誰かに射撃でもされたら、一瞬で終わるんだろうなと。
ネガティブ思考が急に爆発した。
すぅと鼻から空気を吸い込んで。
ふうと息を吐きだす。
「お待たせしましたわね」
声のするほうを振り向く。
颯爽と出てきた侍女と。
侍女の後ろには小柄な女性が白い日傘をさして、こっちへ向かってきた。
たとえ、王妃に何を言われようが、
こっちには、バニラという最強の妖精がいるし、
最悪、バックにはスカジオン王国のテイリーだっている。
しかし。
最愛の夫の愛人に会いたいなんて、どういう神経の持ち主なのだろう。
よっぽどの変わり者なのだろうか。
お茶会当日。
紺色のワンピースを着て。
手土産にと、バニラが花束を用意した。
「目の前でコレを踏みつけられても、捨てられてもいいように心の準備は出来ていますわ」
迎えられた馬車に乗って。
バニラは恐ろしいことを言った。
完全に目は狂気に満ちている。
「そもそも、王族なんてどこの国へ行っても、ろくな人間なんていないのです」
「あのー、バニラ? どうしちゃったの?」
ぶつぶつと何かを言っているバニラに、若干ドン引きしながら。
馬車はゆっくりと宮殿のほうへと向かっていく。
普段、利用している講堂の近くをあっさりと通過して。
厳重な警備のもと、奥へ奥へと進んで行く。
怖そうな騎士団の男性たちがこっちを睨んでいるように見えて。
慌てて目をそらす。
何度、馬車が止まって門が開いたことか…。
やがて馬車が立ち止まると。
御者が扉を開けてくれた。
外に出て。
庭園を見た瞬間「ひろっ」と声を漏らしてしまった。
身近な人の庭園といえば、カスミ様のお屋敷だけれど。
カスミ様のお屋敷の2倍は大きいのではなかろうか。
案内されたのは、白いガゼボだった。
屋根の下には、円形のテーブルがあって。
白いテーブルクロスが引かれてある。
「いよいよですわね」
後ろでバニラが言った。
今のところ、何もかも無事だ。
ここでいきなり誰かに射撃でもされたら、一瞬で終わるんだろうなと。
ネガティブ思考が急に爆発した。
すぅと鼻から空気を吸い込んで。
ふうと息を吐きだす。
「お待たせしましたわね」
声のするほうを振り向く。
颯爽と出てきた侍女と。
侍女の後ろには小柄な女性が白い日傘をさして、こっちへ向かってきた。