暴君御曹司のお気に入り
「そろそろ飲み終わった?」

ス〇バに入店してから軽く1時間は経過した頃、なかなか減らない綾川のコーヒーに痺れを切らして私は思わず声をかけた。

「も、もうちょっとってとこだな!」

とっくに冷めたであろうそのコーヒーはまだ優に半分ほど残っていた。

「あーもう!じれったい!!」

「な、なんだよ!コーヒーはじっくり楽しむもんだろ!」

ぎゃんぎゃん騒ぎ立てる綾川の手からカップを奪い取り、残りのコーヒーを勢いよく飲み干す。

「あっ!!何すんだ!」

顔を赤くして怒鳴った綾川だったが、内心苦手なコーヒーを飲まなくて良くなったことに安心したのかすぐに黙った。

「もう帰るわよ」

長居していた私たちへの店員からの目線は冷たくて怖かったので、半ば引きずるように綾川の腕を引いて店を出た。

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