暴君御曹司のお気に入り
「あ、綾川、、、」

「俺から離れるなっつったろ!それに何だよこの男!金髪なんて見るからに怪し、、、」

「あれ?湊じゃん。久しぶり」

怒鳴り散らかす綾川に、金髪の彼は親しげに声をかけた。

「、、は?誰だよお前」

「誰だよって友達だろ」

呆れたように笑う金髪の彼。

「綾川、友達の名前は忘れちゃ駄目なんじゃない?」

私の言葉に綾川は口を尖らせた。

「こいつが一方的にそう思ってるだけだろ」

「そんなこと言ってるから湊は友達少ないんだよ」

「名前で呼ぶな!馴れ馴れしい!」

「はいはい、名乗ればいいんでしょ。京極 大和だよ。ちゃんと覚えてね」

「大和、、、?お前、あの大和か! 金髪だから気づかなかったぜ」

綾川がピンと来たように京極と名乗る彼の顔を覗き込んだ。

「確かに大和だな!悪い悪い、全然気づかなかった!」

「まあ久しぶりだし気付かなくても仕方ないよ」

京極というその男は綾川のことをよく知っているようで、大人な対応が得意みたいだ。

「君はなんていうの?」

「へ?私?」

唐突に話の矛先を向けられて戸惑ったが、聞かれた手前言わないのも失礼かと思い、

「如月 紬です」

とだけ答えた。

「へえ。紬ちゃんね。俺のことは大和って呼んで」

「はあ、、、」

異様な距離の詰め方に、やっぱりこの人はチャラ男だったのだとうんざりしながら思う。

「俺もうちょっと紬ちゃんと2人で話したいんだけど、、、」

「ダメに決まってるだろ!紬は俺が招待したんだから俺と一緒にいるんだよ。あっち行け!」

何やら揉めだした2人を横目に、巻き込まれたくない私はただひたすらアイスを口に運んだ。
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