暴君御曹司のお気に入り
宗教勧誘のおばさんに捕まったり、野良猫の大群に追われたりしながらもなんとか無事に遅刻することなく学校にたどり着いた私は、席に座るとそのまま爆睡してしまった。

「あ、如月さん、、、」

起こしてもらったのは4限目の終わり。
隣の席の人の控えめな声と優しく肩を叩くその手によって私は現実世界に帰還した。

「大丈夫?熱でもあるんじゃないの?」

「へ?」

心配するクラスメイトにあれよあれよという間に保健室に連れていかれ、熱を計られ、38.5度という数字を叩き出した私は早退を余儀なくされた。

保護者を呼ぼうかという先生の優しい申し出を断り、自分で帰ることにした。

車を出してもらうほどの距離ではないからだ。

でも今思えば私はあの時先生の提案に乗って親を呼んで貰えばよかったのかもしれない。

そうすれば、きっとあんなことにはならなかったはずなのに、、、​。​
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