初恋の終焉〜悪女に仕立てられた残念令嬢は犬猿の仲の腹黒貴公子の執愛に堕ちる
「ちょ、ちょっと待って! 隣って、この部屋の隣は主寝室よ?」
「何か問題でもございますか? ハインツ様は、家格的にも他のお二方より格上のお部屋にしなければなりません。しかし、使える客間は三つ。ミランダ様に使用人部屋をご使用してもらう訳にも参りませんでしょ。一番格上の主寝室をハインツ様にご使用頂くのが一番角が立ちません」
「そうだけど……分かったわ! 私が使用人部屋へ行けばいいのよ」
「何をおっしゃいますか! お嬢様はホスト役でございますよ。ホスト役が使用人部屋を使うなど、ベイカー公爵家の威信に関わります」
「そうは言っても……」
「お嬢様は何がそんなにお嫌なのですか? お隣がハインツ様でも構わないじゃありませんか」
「だって、この部屋にはアレがあるじゃない!」
エリザベスの指差す方へと視線を移したミリアが訳知り顔で頷く。
「あぁ、続き扉でございますか」
「えぇ。きっとハインツ様も気にされると思うの」
「お嬢様、問題ございません。ハインツ様にとってはかえって好都合……」
「えっ!?」
「いえいえ、何でもございませんわ。大丈夫です、お嬢様。もちろん扉には鍵がしっかりかかっておりますから」
「そ、そうよね。未婚の男女ですもの、鍵をかけない方がおかしいわね」
「まぁ、婚約破棄されたばかりのお嬢様と超優良物件のハインツ様。逃す手はないかとも……」
「えっ!? ミリア、まさか……ね?」
「ふふふ、さぁ? ご自身でお確かめになってみたらいかがです。さて、そろそろお夕飯のお時間ですね。では、後ほど」
「ま、待ちなさい! ミリアぁぁ」
エリザベスの叫びは無情に閉められた扉により、ミリアに届く事はなかった。
「何か問題でもございますか? ハインツ様は、家格的にも他のお二方より格上のお部屋にしなければなりません。しかし、使える客間は三つ。ミランダ様に使用人部屋をご使用してもらう訳にも参りませんでしょ。一番格上の主寝室をハインツ様にご使用頂くのが一番角が立ちません」
「そうだけど……分かったわ! 私が使用人部屋へ行けばいいのよ」
「何をおっしゃいますか! お嬢様はホスト役でございますよ。ホスト役が使用人部屋を使うなど、ベイカー公爵家の威信に関わります」
「そうは言っても……」
「お嬢様は何がそんなにお嫌なのですか? お隣がハインツ様でも構わないじゃありませんか」
「だって、この部屋にはアレがあるじゃない!」
エリザベスの指差す方へと視線を移したミリアが訳知り顔で頷く。
「あぁ、続き扉でございますか」
「えぇ。きっとハインツ様も気にされると思うの」
「お嬢様、問題ございません。ハインツ様にとってはかえって好都合……」
「えっ!?」
「いえいえ、何でもございませんわ。大丈夫です、お嬢様。もちろん扉には鍵がしっかりかかっておりますから」
「そ、そうよね。未婚の男女ですもの、鍵をかけない方がおかしいわね」
「まぁ、婚約破棄されたばかりのお嬢様と超優良物件のハインツ様。逃す手はないかとも……」
「えっ!? ミリア、まさか……ね?」
「ふふふ、さぁ? ご自身でお確かめになってみたらいかがです。さて、そろそろお夕飯のお時間ですね。では、後ほど」
「ま、待ちなさい! ミリアぁぁ」
エリザベスの叫びは無情に閉められた扉により、ミリアに届く事はなかった。