初恋の終焉〜悪女に仕立てられた残念令嬢は犬猿の仲の腹黒貴公子の執愛に堕ちる
「ハインツ様は、私の初恋の君が泉で命を救ってくれた少年だとなぜ知っているのですか?」
「ふふ、エリザベスの事なら何でも知っていますよ。好きな花や小物、御用達のドレスショップやジュエリーショップ。よく通う菓子店やレストラン。あげたらキリがありませんね。もちろん交友関係や今まで師事されてきた先生方にいたるまで把握しているつもりです」
そんな事を聞きたいのではない。今、ハインツが言っている事は、調べようと思えば誰でも調べられる事柄にすぎない。エリザベスが言いたいのは、初恋の君の事だ。
幼少期に命を救ってくれた少年が初恋の君だと、エリザベスは親しい友人にしか話していない。それも、極々限られた友人にのみだ。
「私が聞いているのは、そんな事ではありません。親しい友人にしか話していない初恋の君の事を、なぜ貴方が知っているのか聞きたいのです!」
「あぁ、そんな些末な事ですか。簡単な話ですよ。エリザベスの周りの友人達は、私と繋がりが深い者達ばかりだからです。不思議に思ったことはありませんでしたか? 第二王子の婚約者なのに、周りの友人の多くが王太子派の貴族令嬢ばかりだと言うことに」
気づかない筈がない。エリザベスは何度も不思議に感じていた。第二王子の婚約者なのに、周りの友人令嬢は王太子派か中立派。徹底して第二王子派を排除したような状況にずっと違和感を感じていた。
ただ、そんな状況を作り出した張本人は、ウィリアムだとエリザベスは思っていたのだ。彼に煙たがられている自覚だけは、ずっとあった。だからこそ、エリザベスを孤立させるためウィリアムが仕組んだ事だと考えていたのだ。
(私が親友だと思っていたアイリス様やミランダ様は、偽りだったの……)
悲しみで胸が張り裂けそうに痛い。
「では、ミランダ様もアイリス様も貴方の指示で、私に近づいたと言う事でしょうか?」
「もし、そうだと言ったら貴方はどうしますか? 彼女達との縁を切りますか?」
ミランダ様とアイリス様と縁を切る……
彼女達との想い出の日々がエリザベスの脳裏をめぐる。
「ふふ、エリザベスの事なら何でも知っていますよ。好きな花や小物、御用達のドレスショップやジュエリーショップ。よく通う菓子店やレストラン。あげたらキリがありませんね。もちろん交友関係や今まで師事されてきた先生方にいたるまで把握しているつもりです」
そんな事を聞きたいのではない。今、ハインツが言っている事は、調べようと思えば誰でも調べられる事柄にすぎない。エリザベスが言いたいのは、初恋の君の事だ。
幼少期に命を救ってくれた少年が初恋の君だと、エリザベスは親しい友人にしか話していない。それも、極々限られた友人にのみだ。
「私が聞いているのは、そんな事ではありません。親しい友人にしか話していない初恋の君の事を、なぜ貴方が知っているのか聞きたいのです!」
「あぁ、そんな些末な事ですか。簡単な話ですよ。エリザベスの周りの友人達は、私と繋がりが深い者達ばかりだからです。不思議に思ったことはありませんでしたか? 第二王子の婚約者なのに、周りの友人の多くが王太子派の貴族令嬢ばかりだと言うことに」
気づかない筈がない。エリザベスは何度も不思議に感じていた。第二王子の婚約者なのに、周りの友人令嬢は王太子派か中立派。徹底して第二王子派を排除したような状況にずっと違和感を感じていた。
ただ、そんな状況を作り出した張本人は、ウィリアムだとエリザベスは思っていたのだ。彼に煙たがられている自覚だけは、ずっとあった。だからこそ、エリザベスを孤立させるためウィリアムが仕組んだ事だと考えていたのだ。
(私が親友だと思っていたアイリス様やミランダ様は、偽りだったの……)
悲しみで胸が張り裂けそうに痛い。
「では、ミランダ様もアイリス様も貴方の指示で、私に近づいたと言う事でしょうか?」
「もし、そうだと言ったら貴方はどうしますか? 彼女達との縁を切りますか?」
ミランダ様とアイリス様と縁を切る……
彼女達との想い出の日々がエリザベスの脳裏をめぐる。