麗しの狂者たち【改稿版】
副会長としての立場。
それは、俺だけではなく全ての生徒に対して示しているのは、大したことだと思う。
このご時世、嫌われることを極端に避ける人間が多い中、嫌われることを厭わない奴は教師連中を含めそうそういない。
誰に対しても態度を変えない。
大抵の奴らは見て見ぬ振りをするけど、あいつは違う。
この校内で唯一俺を咎める存在。
それが俺にとっての“価値”なのかもしれない。
『叱られることが本望な奴にとって、好きになる理由はそれで十分じゃね?』
昨日言われた店長の言葉が、ふと脳裏を過ぎる。
ふざけんな。
もし、そうだとしたら、俺はマジでただのドMじゃねーかよ。
……。
…………ああ。
もう、何だか色々うざい。
知らない女に付き纏われている状況もそうだけど。
これ以上考えていると再び混乱の渦へと堕ち入りそうになり、俺は無理矢理思考を止めてその場から離れた。