麗しの狂者たち【改稿版】
とりあえず、ずっと付き纏っていたウザイ女は、軽く一喝した途端直ぐに立去り、ようやく自由の身になったことに小さく肩を下ろす。
すると、突然ポケットに入れていたスマホが震えだし、何かと思い取り出してみると、画面には店長からの着信が表示されていた。
「店長?こんな時間にどうしました?」
「日中に悪いな。今平気?」
普段、学校がある時間帯はよっぽどの事がない限り着信なんて殆どないのに、一体何があったのだろうと。
不思議に思いながら、とりあえず二つ返事をしてみる。
「急な話で悪いんだけど、今度の祝日のイベント出れるか?翔の爺ちゃん亡くなって、急遽来れなくなったんだ」
祝日のイベントって……毎年恒例の肉グルメ選手権ってやつか。
俺は出店要員ではないから、断片的にしか知らないけど、確かキッチンカーで販売するって言ってたような。
「特に予定入ってないんで大丈夫っすよ」
もともと、その日は何もしないと決めてたし。
「悪いな、助かるよ。お前に手伝わせるつもりはなかったけど、他が居なくて。バイト代かさ増しするから、よろしくな」
「りょーかい」
それから、集合時間や詳しい作業内容は後程メッセージで送るということになり。
俺は通話を終了させると、早速スケジュールアプリに予定を登録した。
そして、肉グルメ選手権とは何なのか。
会場の様子を知るために、検索をかけて専用ページを開いてみる。