麗しの狂者たち【改稿版】
「ところでさ、学校でのこいつってどうなの?ここでは下っ端らしくやってるけど、やっぱり問題児?」
「ええ。それはもう」
それから、何気なく向けられた茶髪男性の質問に、答えを詰まらせた矢先。
そんな配慮は全くもって必要ないと言わんばかりに、渚ちゃんは真顔で即答した。
「うちの聡明な倉科副会長が、毎度彼の非行に悩まされているんです。先輩方からも、どうか厳しいご指導の程よろしくお願いします」
「お前俺の何だよ」
そして、眉間に皺を寄せながら即座に飛んできた八神君のツッコミに、その場にいた全員が声を上げて笑い出した。
そこから、私達が生徒会役員であること。
学校のこと。
八神君の問題児っぷりなど。
赤裸々に語り始めたら、店長までも興味津々に私達の話を聞いてくれて、この場は大いに盛り上がった。
一方、八神君は先輩達に弄られ、終始不機嫌そうな表情だったけど満更でもなさそうで。
心なしか普段の刺々しさが少し薄れていて、まるでお兄ちゃん達に遊ばれている弟のような。
そんなアットホームな雰囲気に、気付けば緊張感は綺麗に消え去り、自分も一緒になって声をあげて笑っていた。