麗しの狂者たち【改稿版】


「……あの。私やります」

そして、気付けば口が勝手に動き出していて。

ポツリとそう呟いた瞬間、二人の視線が一気にこちらに集中した。

「え?……あ、ごめん。今のマジで冗談だから。全然気にしなくていい……」

「家はバイト禁止なので正式には出来ませんが、一日だけお手伝いとして雇ってもらえませんか?これも一つの社会勉強としてやってみたいんです。お金はいりませんから」

それから、たじろぐ男性にはお構いなしと。

我ながら、またもや自分勝手な要求をしてしまったと思いながらも、走り出した思考はそう簡単に止めることは出来ず。
私は勢いに任せて身を乗り出した。


「それなら、次の土曜日来れるか?その日は大口予約が入っているから、猫の手も借りたいんだ」

すると、いつの間にやら背後に立っていた店長の一言により、私の要求はあっさりと受け入れられ、予想外の反応に少しだけ拍子抜けしてしまった。
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