麗しの狂者たち【改稿版】
今日は生徒会の仕事はなく、亜陽君も予定があるそうなので先に帰ってしまった。
ここ最近はプロジェクトでずっと忙しかったし、久しぶりに出来た自分の時間をどう過ごすか。
そんなことをぼんやりと考えながら突き当たりを曲がったところで、ふと前方に映った二つの人影。
八神君と白浜さん?
予期せぬところで出会した意外な組み合わせに、私は動かしていた足を止めて、二人の背中をじっと眺める。
またあの二人が一緒にいるということは、もしかしたら彼女はまた何かを企んでいるのだろうか……。
そう思った瞬間、何やら嫌な予感がしてきて、徐々に心拍数が上がり、日誌を持つ手から脂汗がじんわりと滲み出てきた。
もし、また亜陽君の差し金だとしたら。
一体八神君に何を仕掛けるのか。
そう考えたら居ても立っても居られなくなり、私は息を殺してこっそり後をついて行くと、二人は旧校舎の方へと向かい、人気のない通路を歩いて奥にある部屋へと入っていった。
ここは倉庫として使われている建物なので、普段生徒が立ち入ることは滅多にない。
こんな場所に用があるなんて、まさか……。
そんな不安に駆られながら、私は二人が入っていった部屋の前まで立ち止まると、物音を立てないよう気をつけながらゆっくりと扉を開く。
そして、中の様子を覗いた瞬間、ある光景が目の前に飛びこんてきて、思わず声を上げそうになるのをすんでのところで堪えた。