麗しの狂者たち【改稿版】
「は?何ですかそれ?これまた理性を失った、猿同然なクソビッ……」
「渚ちゃん。ちょっとお口がいけないですね」
全てを話し終えた後。
まるで汚物を見るような目で毒吐く彼女の言葉を教育問題上遮ると、今度は河原木君の方から深い溜息が聞こえてきた。
「というか、それ以前にうちの学校の風紀は一体どうなっているんですか?社交パーティー以前にもっとやらなくてはいけないことがある気がするんですけど」
「……そ、そうですね」
こっちはこっちで耳がとても痛くなる正論をストレートに投げてきて、私は引き攣り笑いを浮かべながら首を縦に振る。
「まあ、副会長の色恋沙汰には全くもって興味ないですが、情緒を乱されて今後の生徒会活動に支障をきたすのは困りますので」
「……はい。肝に銘じておきます」
そして、淡々とした様子で投げられた容赦ない河原木君の戒めの言葉に、私は段々と身が縮こまっていく。
「副会長あまり気にしないでください。このメガネ言葉足らずだから誤解されやすいですが、一応心配しているんですよ。この前も倉科副会長のこと……」
「黙れ。なりふり構わず狂乱するお前よりマシだ」
そんな息ぴったりの二人の掛け合いを側から眺めていると、何だかとても微笑ましく思えてつい笑みが溢れ落ちる。
「二人ともお似合いですね。まるで夫婦みたいです」
「まあ、俺達付き合っているので」
すると、半分冗談で言ってみたのに、真顔で即答してきた河原木君の言葉に、私は一瞬思考回路が止まった。