麗しの狂者たち【改稿版】

「……あ、えと……その……」

彼の言う通り、人にあれだけ求めておいて自分は知りませんなんて、そんな虫のいい話はない。


だから、私もここでケジメをつけないと。


自分の気持ちに、自分の未来に。


それでこの先どうなるのか。
不安を完全に払拭することは出来ないけど、彼の純粋な想いを知ったら、それ以外の細かいことはもうどうでもいいように感じて。

今ならはっきりと伝えられる気がする。


「私も八神君が好き。役目とかなんてもう知らない。私は、私の好きなようにしたい。だから、お願い。もっと私のことを愛して。私のことをもっと見て」


それはずっと言いたかった言葉。


一度触れた瞬間、まるで封印が解かれたように抑えつけていたものが全て放出されていく。


この時をどれ程待ち望んでいたことか。
しがらみから解放されるのは、こんなにも心地良いなんて。

それが良いのか悪いのか。
よく分からないけど、この際どっちでもいい。

自分の気持ちとようやく素直に向き合えたなら、それでいい。
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