麗しの狂者たち【改稿版】
「嘘だよ」
けど、直ぐに柔らかい笑顔に変わると、来夏君は私の肩を引き寄せて、包み込むように優しく抱きしめてきた。
「美月、結婚しよう。その為なら俺は何だってするから」
それは、これまでにない程献身的で、真っ直ぐな彼の想い。
時には強欲的で、身勝手で。
何色にも染まらない真っ黒な彼を、私はこれからも追い続けるのだろうと。
そんな未来に想いを馳せながら、私は来夏君の背中にそっと手を回す。
これまで幾度となく狂わされてきた、私の愛しい人。
そして、私に“意志”を持たせてくれた大切な人。
だから、絶対に手放したくない。
「私達、ずっと一緒だからね?」
この溢れる気持ちを一言に全て押し込めて、私は確かめるように彼を見上げる。
そんな私を、来夏君はいつになく愛おしそうな目で見つめてくれて。
返事の代わりに、優しく私の唇を奪っていったのだった。
〜〜FIN〜〜