麗しの狂者たち【改稿版】

「よくあんだよ。俺を見ればヤレると思って近付いてくるやつ。まあ、気分が乗れば付き合ってやってもいいけど、そうじゃなきゃだたの迷惑でしかねーわ」


うんざりした目でそう答える八神君。

つまり、彼の言い分を聞いた限りだと、自分はここで勉強していただけなのに、あの人が勝手に絡み付いてきたから、ああなってしまったとそう言いたいのだろうか……。


………………うん。


最低だ。



「そんな風貌だと、誰がどう見ても遊び人としか思えませんけど?」

そもそもとして、そんな環境を作ってしまった彼にも非があるのではと。

思ったことを口にした途端、物凄い形相で睨まれてしまい、思わず肩がすくんでしまう。


「でも、人を見掛けで判断してはいけないということを今ここで学びました。勉強頑張ってください。あと、くれぐれもタバコはもう吸わないように。次は処分の可能性もあり得ますからね!」


何はともあれ。
彼の言う通りであれば、確かにこれ以上邪魔をするわけにもいかないので、私はタバコを拾い上げて念を押すと、大人しく屋上を後にした。
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