麗しの狂者たち【改稿版】
「そういえば、もうすぐだね。両家の会食」
それから、ひと段落したところで、私達はお茶を飲みながら談笑していると、ふと話題に上がってきた来週末のこと。
「亜陽君は今年もまた色々と聞かれそうだよね。この前、お父さんが進路の話とかするって言ってたし」
毎度会食では両家の経営についての話題が主となっているけど、それと同じくらい亜陽君の将来も要となっている。
だから、今回もまた彼の話で持ちきりになりそうで、負担にならないか少し心配になる。
「まあ、いつもの事だから平気だよ。それなりに考えはまとまってるし、あとは当たり障りないのないことを言えば大丈夫だから」
けど、あっけらかんと話す彼をみる限りだと、大したことではなさそうで。
会食の時もそうだけど、相変わらず物怖じしない堂々とした態度と、大人顔負けの思考に私はいつも圧倒させられる。
やっぱり、亜陽君と私は全然違う。
同じ高校生とは思えない程に。
頭の良さも、立ち振る舞いも、先を見据える力も。
全部私の遥か上をいってる。
八神君の扱いだって、亜陽君ならもっと上手くやれるのかもしれない。
だから、周囲の注目を浴びるのは当然のことであって。
私はそんな彼を支えるお嫁さんになれるよう、これからも精一杯努力すればいい。