麗しの狂者たち【改稿版】


けど、仮にも八神グループの人間である以上、俺にも制約というものはあって。

自分のやりたい事を目指すには、いくつか段階を踏まなくてはいけない。

それでも、他の連中に比べれば大分好き勝手にやらせてもらっているから、まだいいけど……。



来週の土曜日に開かれる親族との食事会。

年に一回行われる八神家の行事であり、数ある制約のうちの一つ。

それに出席しなければ俺の一人暮らしは即取り消され、他にも今の生活を維持するための条件は色々とあるけど、中でもこれが一番面倒くさくて、厄介だった。


……まったく。


何が楽しくて、あんな爺さん婆さん連中に媚びへつらいしなきゃいけないんだが。

未だに、そこまでして食事会を開催しなくてはいけない理由が分からず。

たった二時間我慢すればいいことだけど、あの堅苦しい雰囲気で大人しくするのは苦痛で仕方がなかった。
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