麗しの狂者たち【改稿版】
え?なんで?
なんでこうなるの?
八神君がこの店に来たのは、まあいいとして。
何故白浜さんと?
そして、何故私達の隣に座ろうとするの?
仮にも、裏切り行為をしていた者同士なのに。
なんで亜陽君も、八神君も、白浜さんも皆平気でいられるの?
全くもって理解出来ないカオスな状況に、私は返事をすることも忘れ、唖然としたまま隣に座る八神君達に視線を向ける。
「へー、九条君達が頼んだの美味しそうだね。私も同じのにしようかな。八神君はどうする?」
「俺はコーヒーでいい」
暫く無言で凝視しているのに、そんな私にはお構いなく会話を進めていく二人。
私の隣は八神君で、とても気まずいけど、浮気相手の白浜さんよりは断然マシな気がして。
とりあえず、いつまでも気にしてては埒が明かないので、私は視線を亜陽君の方に戻し、極力二人の存在を忘れることした。