先輩と後輩の関係。
19-
私は、自分ってこんなに早く走れるんだと思うくらい全速力でタクシー乗り場へ向かった。
あと少しだから、涙も堪えて頑張ろう。
20分ほどで無事到着したけど、体感時間は朝から晩までタクシーに乗ってる気分だった。
運転手さん早く!もっと早く!の気持ちだった。
けど、今の私は何も発する事が出来ず…立ち尽くしたままだった。
「到着しました」
『ありがとうございます』
病院の前には、病院に入る人…出る人で慌ただしかった。
私は、呼吸を整え病院に入った。
面会受付の手続きをして、指定の場所に向かった。
ら…
先日ご挨拶したお父さんとお母さんがドアの前で立っていた。
『こんばんは、凛です』
「あら〜凛ちゃん、仕事中だったのに、来てくれたの?ありがとう。さっき、舜のスマホから電話かけたんだけど出なかったからお店にかけたんだ〜」
と、
お話ししてくださった。
舜くんじゃなくて、お母さんがかけてくれたんだね。
優しいお母さんで良かった…と肩を撫で下ろしていた。
「あと少しで精密検査が終わって何もなければ通常病棟に移動出来るって。」
とのことで、恐縮ながら私もお母さんとお父さんの隣に座らせてもらった。
正直、涙を堪えるのに必死で何も話せなかった。
ただ、ただ、舜くんを待つことしか出来なかった。