優しい犯罪
「犯罪にならない程度にハッキングしてみたんだけど。あの家、怪しいことだらけっていうか。調べるほど謎なんだ」
俺に手渡された紙に目を落とすと、元ホワイトハッカーである相方を初めて怖いと思った。
「これ、戸籍謄本じゃない?こんなのハッキングできるの?」
「まぁそれは聞かないで。聞かない方が蓮斗のためだから。それでね…」
如何にも合法的に仕入れたと言わんばかりに、話を進める相方。
既に一つ罪はあるけど、何も重ねなくても…。
まぁ俺も誘拐罪を足してるから、他人のこと言えないけど。