優しい犯罪
ただそこに少女がいただけだから。
「あの会社には恨みしかない。社長のことも恨んでる。でもそこに少女がいても、恨みの大きさは変わらないし、むしろ会社でも家庭でも最悪の人間だって分かっただろ?あの少女のことをもっと知ったら、解決に近づくかも。要は利用するってことだよ」
「…利用ねぇ」
「そう。少女を利用して悪事を全部、世に出す。そうすれば人としての格を下げられる…。どう?」
苦し紛れに、その場で思いついた言い訳。
ほんの少しはそう考えていたから、完全に嘘ではない。