優しい犯罪




目を大きくしたまま、私が座っているソファに近づくと、私の目の前で片膝をついたおじさん。




「…いいか、よく聞けよ。大事なこと言うからな」


「はい」




何が始まるんだろう。


私の名前を教えてもらえるんだろうか。

それなら、少しワクワクする。




「あんたは、産まれてないことになってる。学校には行かせてもらえたか?風邪引いて、病院に連れて行ってもらえたか?」



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