優しい犯罪




「落ち着いたか?どうだ?」


「……はい。迷惑かけて、ごめんなさい。こんなつもりじゃなかったんです。でも、どうにもならなくて」


「焦ることないよ。自分の中で怖いって思いと闘ってる証拠だから、逃げちゃダメだよ。あれで良い」




おじさんにも申し訳ないから、しばらく包丁は見たくない。


見慣れるまで時間がかかるし、使える自信がない。




おじさん、ごめんね。


< 182 / 296 >

この作品をシェア

pagetop