優しい犯罪



「待ってます」


「一人で留守番できる?いや、無理か。相方に来てもらうか…」


「一人で待てます。テレビ見てます」




物置で常に一人だったから、また少しの間一人になるだけ。

なんて事はない。



でもおじさんは、ブレなかった。



「やっぱり、この間のおじさんに来てもらうよ」


「…あのおじさん、嫌だ」


「え!?嫌い?」


「口のもじゃもじゃが怖いんです」


「あぁ、髭が怖いのか。じゃあ…ここから出ないのを約束できるなら」


「はい、約束できます」


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