優しい犯罪




「ただいまー」




返事がないから寝ているのかと思って覗き込むと、目は開いていた。



「何だ、起きてたのか。それなら何か反応してよ」


「…待ってたのに」


「ん?」


「待ってたんです。…警察官が二人も来たんだよ!?私の傷のこと長い間聞かれて、おじさんのことも聞かれて、最後は準備してからまた来るって」




優衣が怒るなんて珍しく、事件の次の日に来た警察が優衣と言葉を交わしたんだと知って、顔が青ざめていった。



ついに優衣が見つかってしまった。


まだ優衣があの家から連れ去られたことはバレていないだろうけど、怪しまれている時点で何かが動き出す。


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