優しい犯罪
「何か…悪かったな。本当はあの家のものだけ盗っていこうって話だったし、あんたがそこにたまたま居て、咄嗟に通報されたらまずいって思って誘拐みたいなことしたけど。…でも、家にはまだ帰せないから」
まだジンジンと痛む頬の傷に大きな絆創膏を貼ってもらい、おじさんが席を離れると、
部屋が暖かくて心地よくて、おじさんは怖い人じゃないかもと思うと、瞼が開いていられなくなってきた。
「おーい。どうした?眠いのか?…寝て良いぞ」
ソファに座ったまま首が座らなくなってきて、おじさんの声を聞きながら目を閉じた。