優しい犯罪
「何か飲みたいものある?」
「お水が欲しいです」
「持ってくるわね。座って待ってて」
言われた通り、パイプの椅子にミシッと音を立てて座る。
この部屋は、前の私みたいに閉じ込められる場所なんだろうか。
もしそうなら、ここから早く出たいな。
警察官がそんなことをするとは思わないけど、できれば長時間居たくない。
「誰か居ますか?」
扉に耳を寄せて返事を待ったけど、誰も居ないみたいで、拳で強く叩いてみても同じだった。