優しい犯罪
「…痛い。あ、寝てしまって、ごめんなさい」
「そんなのは別に良いけど、落ちたのか?」
「寝返り打ったみたいで、落ちました」
逃げようとはしていなかったみたいだけど、目をまん丸にしてソファから落ちて床に座り込んでいた。
完全に音に敏感になっていて、少しの物音でも怯えて、体が休まらない。
「気をつけろよ。全身傷だらけなのに…」
「え、何でそれを…」
気を抜いていて、言わなくて良いことを言ってしまった。
少女の顔が強張っていき、後退りしていく。