優しい犯罪
しばらく私を探すように窓を見続けると、ふにゃっと目尻を下げて、一瞬で家に居た時の優しいおじさんの表情に変わった。
もしかしたら、一緒に過ごしてきた時より優しい表情かもしれない。
戻ってきた希望に胸がぎゅっと締め付けられて、目に涙が溜まる。
「…ごめんな。もっと優衣とあの家で過ごしたかったし、もっと教えたいこともあったけど。おじさん、そろそろ謝らないといけないみたいだから。
一つ約束して。優衣には、おじさんのことを忘れて過ごしてほしい。ちゃんとした、犯罪者じゃない人と暮らすんだ」
そんなこと言わないで欲しい。また私と一緒に過ごして欲しい。